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東京大学大学院 新領域創成科学研究科 サスティナブル・ファイナンス・スクール

ご挨拶
GREETING

本校開設にあたって

 地球規模の環境破壊や人権問題等、今日の国際社会が直面する課題は深刻化の一途を辿っています。このような国際問題は国の対応に一任されていましたが、解決のめどはついていません。そして、これらの問題は、企業の経済活動にまで影響を及ぼすようになりました。企業自ら、国際的課題に自発的に取り組み、そして備えることが、究極的には企業活動の継続にとって必須条件となったのです。欧州から北米へ、そしてアジア諸国へと意識の共有は広まりました。今日では、企業の取り組みを示す情報開示、開示された情報を見て投資先を決定する投資家、商品を選ぶ消費者といった構造が当たり前になりつつあります。
 日本でも世界の大きな潮流に追いつく動きが急速に進んでいますが、日本経済全体に浸透しているとは言い切れません。また、本来は、追いつくだけではなく、今後の国際的なルール作りの場に参画し、地球と日本にとってベストな国際ルールを形成していく作業に貢献する人材を増やすことが理想です。
 東京大学大学院新領域創成科学研究科は、上記の課題を大学として受け止め、日本経済全体をサステイナブルな社会へと先導しながら、新しいビジネスの開花につなげていくことができる人材の育成に貢献したいと考え、新たにサステイナブル・ファイナンス・スクールを開設することとしました。受講生と大学が対話を深め、相互に学び合える場となれば本望です。

  • 東京大学大学院新領域創成科学研究科
    研究科長

    徳永 朋祥

  • サステイナブル社会デザインセンター長&
    サステイナブル・ファイナンス・スクール長

    亀山 康子

東京大学総長からのご挨拶
藤井 輝夫
東京大学 総長

藤井 輝夫

 新型コロナウイルス感染症や気候変動など、私たち人類社会はいま地球規模の課題に直面しており、それに伴って世界各所で社会の分断や格差が露わになってきています。近年では、これらの社会課題が企業のリスクとしても認識され、そうしたリスクに対して十分に準備・配慮できているかという観点から企業が評価されるようになりつつあります。
 このような社会変化に対応すべく、東京大学では、大学院新領域創成科学研究科による新しい社会人教育プログラム「サステイナブル・ファイナンス・スクール」を2023年度に立ち上げました。サステイナブル・ファイナンスの概念は、金融界に限らず全ての企業が事業活動を行う際に配慮すべき指針であり、それを担う人材の育成は急務です。
 このスクールで学んだ社会人の皆様が、今後の日本経済を担う、地域再生に取り組む、ひいては国際社会をリードするなど、それぞれの立場で活躍していただくことを願っています。私たちもまた、このスクールを通じて受講生の皆様と社会課題を共有し、共にその解決に取り組んでいけるよう、双方向の対話が深まることを期待しています。

本スクールについて
ABOUT

about

サステイナブル・ファイナンス
推進に寄与する人材を育てます。

 本スクールは、人類社会のサステイナビリティを確保するためのファイナンスのあり方、すなわち「サステイナブル・ファイナンス」について、その背景と目的、理論的基礎、世界の潮流、実務知識等を広く学ぶとともに、そのあるべき将来に関して、参加者自らが問題意識をもって考察する機会を提供します。東京大学や国立環境研究所などアカデミアと実務界から、国内外のサステイナビリティ分野の第一線で活躍する講師陣を招いて、講義を行い、参加者と議論を深めます。
 金融界・産業界での実務経験のある中堅人材を主な対象に、自らの業務のみならず企業・金融機関や業界の進むべき方向を、サステイナビリティの視点から見つめ直し高めるための主体的・総合的な「考える力」と「行動する力」を育成することを目標とします。また、本スクールでは、年度を越えて参加者や講師間のネットワーキングをサポートし、日本のサステイナブル・ファイナンスをリードする人々が切磋し合い連携する機会を提供します。
 なお、2024年度より、東京大学エクステンション株式会社(東京大学100%出資会社)が業務の一部を担うことになりました。

能力構築のための4ステップ

 本スクールでは、サステイナビリティを志向する世界の潮流の中でリーダーシップを発揮できる理論的基盤や主体的な考察力・情報収集能力を身に付けることを目指し、4段階での能力構築を実施します。

  • サステイナビリティ問題の中核である地球環境の状況を科学的に把握する。それにより、世界的なサステイナビリティの潮流の背景を正しく理解し、グローバルな視点で考えられるようになる。
  • サステイナブル・ファイナンスに関連する理論的基礎を学ぶ。グローバル経済の負の外部性としての課題やその解消方法を理解し、経済・金融市場とサステイナビリティの関係を考える上の基礎を身に付ける。
  • 様々な当事者による取り組みとその意義・実務動向の理解を深める。グリーン・ファイナンス、ESG投融資、企業情報開示等について、最新動向を知るとともに、そのメカニズムや効果について自らの考えを持てるようになる。
  • サステイナビリティに関する政府や中央銀行の取り組みを学ぶ、各講義ではQ&Aと講師との議論を通じて理解をさらに深める。対面講義でグループワークを実施する。
協力機関

 本スクールは、東京大学大学院新領域創成科学研究科が主催する他、国立研究開発法人国立環境研究所が協力機関となっています。

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